デイケア・バリアありい

デイケアについて

歳を重ねると人と会う機会が減るものです。会社に通っている人が会社を定年で退職してからゆっくり自宅で趣味に打ち込もうと思っているというのも一つの人生ですが、体が自由に動く期間は趣味がまた人との付き合いを生むものですが、外出が辛くなると家族以外に交流する人が居なくなり、自宅で毎日テレビを見て食事するだけになってしまいます。

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近くに子どもや孫が住んでいるような人は幸せですが、都会では一緒に住めるようなスペースも望めなくて別居が普通ですから、益々孤立化が進んでしまいます。デイケアは週に1回でも人との交流を持つことで様々な活動や体験、学習などのチャンスを持ってもらうのが主な目的です。

このサービスを父親にも利用させて貰いましたが、高齢者向けのデイケアは身体的なリハビリ以外では認知度が下がった高齢者を対象としている為に、年齢の割に認知度が衰えていなかった父親には退屈なものだったようです。ケアマネージャーさんも父親の性質を良く理解してくれていた人だったのですが、その人が選択した施設でも父親にとって適当では無かった事が後で理解されました。

ある意味で認知度があまり下がっていない高齢者のデイケアというのは贅沢な悩みなのかもしれませんが、ある介護施設では自分が一日何をするかを利用者である高齢者自らが決めて一日を過ごすという取り組みがありました。この施設はテレビでも紹介された「夢のみずうみ村 浦安デイケアセンター」です。内容を書き出すとコピペになってしまいますが、以下のような豊富な内容からケアされる高齢者自信が一日の自分の生活を選んでボードに貼り付けます

■ 脳を活性・手先を鍛えるメニュー
パソコン・デジカメ・カラオケ・木工・織物・頭の体操・陶芸・ちぎり絵・クリーニング・水墨画・片手でつくる料理教室・和太鼓・パン作り・マージャン・カジノ・紙すき他

■ 身体を鍛えるメニュー
健康トリム・機械トレーニング・健脚教室他

■ 身体を癒すメニュー
からだほぐし・機械マッサージ・あたため・ボーっとする・なにもしない・気分次第・そよ風にふかれる他

検索エンジンで色々調べましたが、この施設は元々が工場だったお陰でその設備を流用できたという事もありますが、これに近い取り組みを行なっている施設は例が無いようです。

「バリアありぃ」とは

この施設のもう一つの取り組みとして、バリアフリーを減らすという考え方があります。高齢者の住む家というと、まず最初に段差を無くして転倒を防ぐという考え方が優先します。

この「夢のみずうみ村 浦安デイケアセンター」では職員により意図的に作られた障害が用意され、それを乗り越える事により、身体と脳の活性化が実現されると言います。

この施設を企画し運営する「藤原茂代表」は「今の老人介護施設は要介護の高齢者が元気になってしまうと収入が減ってしまうという構造的な問題がある」と指摘されています。これがそのまま事実であれば「今のような多くの介護施設はある意味でいらない」事になってしまいます。

一方では予防医学は現代の最優先課題です。人生を全うするまで医療が不要な生活が出来れば、医療費も最低限度で済みますので、国の支出で多くを占める医療費が圧縮されます。「バリアありぃ」で健康になれる程度の高齢者には医療は不要にという考え方です。そして年齢などには関係なく深刻な病気にこそ医療が集中する世界が理想だと考えれば「藤原茂代表」の考え方は非常に理にかなっているものだと私は思います。